マイベストカメラと題したわけですが、そのタイトル通り、今日は自分が長年手放せずに使い続けている一台『LUMIX DMC-L1』について紹介したいと思います。
発売が2006年の夏頃ですから、もう10年以上前の一眼レフ機です。
Panasnicが世に送り出したレンズ交換式の一眼レフカメラとしては第一号という事で、当時は”家電屋のカメラ”と、なにかと叩けれていた機種でもあります。
あまり人気のない機種だったとも言えますので、ご存じない方のために簡単な紹介をば。
4/3センサーを搭載したレンジファインダー機風の一眼レフ。
750万画素のLiveMOSセンサーを搭載。
井戸の底を覗いているような暗く小さなファインダー像に加え、当時は斬新だったライブビュー撮影が可能。低ドットの粗い液晶によって行う為、視認性や応答性は極めて低い。
ISO感度は100~1600まで設定可能。
一般的にノイズ量判断で常用域は400までと言われている。
と、まぁ散々な悪口を含んだ紹介内容にしてしまいましたが、これが事実ですからしょうがありません。
しかし僕にとってはこのL1こそがマイベストカメラであると断言できます。
その心境は「墓場まで持っていこう」ってくらい(笑)
それは一体なぜか。
理由の一つは単純です。
画質なんです。
このL1との馴れ初めは一冊のムック本との出会いから。
新橋駅前でたまに開かれる古本市でこの本を目にしました。
時間も無かったので通り過ぎるように大量の背表紙を見ていた際、スピリチュアル的で申し訳ないのですが、本当に偶然この本に目が留まったんです。
たしか記憶では背表紙が見えず、反対になって本棚に入っていたと思います。
手にとってみるとそれはL1のムック。
「な~んだ、L1か」というのがその時の浮かんだ気持ちです。
そうです。僕自身、このカメラの存在は認識しておりました。しかもPanasonicの黒歴史程度に(笑)
”ー時を写すカメラー”そんなキャッチコピーを見て苦笑しながら開いてみました。
ところがです。そこにある作例が衝撃を受ける程に引き込まれたのです。
勿論ハービー山口さんを含めた名立たる写真家が撮った作例ですから当然かもしれませんが、それを差し引いても感動してしまったんです。
すぐさま購入し家へ帰り、同じくカメラ好きの妻(当時は彼女)と一緒にこのムックを眺めました。
今でもよく覚えています。二人とも”何かが他のカメラと違う”と感じたんです。
作例の中にはOLYMPUSのレンズを使用したカットもありましたが、取り立ててLeica Dのレンズで撮ったカットが素晴らしいのです。
作例データを見ずに互いにブラインドテストを繰り返しました。
しっかり判別できたあと、これは買うしかないという確信に変わり、新品同様品の入手に至った次第です。
それからというもの、このL1の画質の虜となり、理由も分からないまま今日まで使っています。
さて、”画質”という言い方はとてもアバウトですし、人によって感じ方が異なります。センサー性能を数値化して評価する場合は圧倒的に低い点数であることは間違いありません。
ただそんなことはどうでもいい!と思わせてくれるのがL1なんです。
もしダイナミックレンジやノイズ(高感度耐性)を画質良し悪しの基準とするならば、僕もこのL1で撮れるデータを低く評価せざる負えません。
でも不思議ですね、各社の最新機種をあれこれと一定期間借り受けて多くの被写体を撮ってきましたが、どれもこのL1と比較すると「素晴らしい!」という一言止まりで、その上を行きません(あくまでも個人の意見)。
世の中にはフルサイズ(135判)やAPS-C、Foveonなどの、解像度・DR・SN・連射・バッファ・堅牢性といった点でそれぞれ突出している機種が山ほど存在します。
デザインや質感の面もそれは同じです。
勿論、当たり前ですが趣味を超えた使用を前提とした場合は、多くの場面でこのL1は活躍できません。
つまり仕事で使う場合は上記に挙げた性能が必ず必要である事が多く、クライアントがL1を推薦するという奇跡が起きない限り、クオリティ達成の面でも使用は無謀と言えるでしょう。(まぁ用途によっては全く問題ないですが・・・)
僕からしても数え切れないほどの不満点が多いL1ですが、それでも常に心はこのカメラと共にあります。
なんと表現すればいいのですかね。もとより”カメラは道具”という考えを僕は持ち合わせておりませんが、特にこのL1だけは別格なんです。
書いていて思ったんですが、これを文章にして伝えるのは難しいですね(笑)
書き始めてから気付くのも読者の方に失礼ですが(汗)
ん~、擬人化するならば妻のような永遠の伴侶とでも言いましょうか、いや、僕からするとこのL1は男なんですけど、まぁそんな感じです。
ちょっと話がぐちゃぐちゃしてきたので、もう少し具体的な内容を箇条書きしてみましょう。
<良い点>
・シャッタースピードダイヤル
絞りリングのついたレンズしか使いませんから、常に設定が真上から見れるのはとてもいい点です。
・頑丈
不注意で一度だけ3年程前に1.5mくらいの高さから落下させてしまった事があります。
コンクリート面への強打ですから「終わった」と、その瞬間思いましたが、割れや凹みも無く、今日までトラブル無しで使ってきました。
・様々な他社レンズをマウントアダプターで使える
現在は純正パナライカに加え「PENTAX Kマウント」「MINOLTA MD/MCマウント」「M42スクリューマウント」を使っています。他にも「Leica Rマウント」なども使えますが、まだ手を出していません。仮にもOVFでこれだけ使えるのは4/3レフ機の利点かもしれません。
(ごめんなさい、僕はへそ曲がりでCanonやNikonを使いませんのでEOSなどは除きます)
・目立たない
意外にも目立ちません。
ロゴなどはパーマセルで隠して使っていますが、大柄なサイズの割にはペンタ部が出ていないフラットな形状のカメラは、明らかに人への威圧感が無く、多くの場面で恩恵を感じます。
・内臓ストロボでバウンス撮影可能
これはメチャクチャ素晴らしい機能の一つです。
<悪い点>
・画素数が少ない
750万画素はさすがに少ないです。他にも600万画素機を使ったりもしますが、この辺の画素数は全紙プリントは厳しいです。一手間二手間かけてやればなんとかなるかもしれませんが、常々つらい点です。
・シャッター音が大きい
カメラの存在は目立たないように出来てもシャッター音は常に”チャキューン”という不思議な音色により残念に思います。
・ISO1600時のノイズ
これは表現としては100点の粒状感です。しかし時と場合によりRAWからも救えません。せめてこれがISO3200なら・・・と感じる自分もいます。
・ファインダーが終わっている
はい、終わっています。一眼レフ機である必要が無いほどオマケ機構です。だから同社はLVF(EVF)のミラーレスへと変化していったのでしょうが。ただこのファインダーのお陰で、僕のMFジャスピン精度は恐ろしく高いと自負できるレベルです(笑)
あと四隅が丸いので水平を直感的に水平を出すのは相当の慣れが必要です。
こんなところですかね。
悪い点も書きましたが、今ではうまく付き合っています。しかし4Kディスプレイが着々と主流となりつつある今、750万画素だけは頭を悩ませます。
ただ、この4/3センサーに詰め込める画素数はこれくらいがベストであるという事でしょう。実際に1600万画素のm4/3も所有していますが、L1との比較では元気な子供くらいにしか感じません。
勿論一般的には及第点ですし、各センサー性能も上である事は分かります。しかし”何か”が劣っています。その理由は技術者ではないので判りませんが、強いて言うなれば写真に現れる”品”、とでも言いましょうかね。
おっと、また抽象的なことを言ってしまいました(汗)
さて、イマイチ言いたいことが書けておりませんし、伝わってもいないだろうと思いますが、ここからが『マイベストカメラ』の判断を左右する大切な内容です。
カメラの用途とは人それぞれ。ただ眺め、手にして愛でる方もいれば、ひたすら道具として使い込む方もいます。
しかし、作品を撮ることを前提とした場合、このカメラが一番自分の実力を発揮できる!という、言わば”ジンクス”にも似た感覚が宿る一台が存在すると思うんです。
スポーツ選手で言えば、グローブやラケット、シューズや下着。その他の職業では筆やネックレス、腕時計、ギターなどなど。
これまでにお会いした優秀なビジネスマンの中にもそうした一品があるという方が多いです。
僕にとってのそれがこのDMC-L1というカメラであり、理屈抜きで相性の良い存在なんですね。
「これを使えば良い写真が撮れるかもしれない」と感じるカメラは、やはりソウルメイトとも言える関係であり、大げさに言えば運命の存在なのでしょうね。
話が若干脱線し誤解を招くかもしれませんが、後にわかった事があります。
このDMC-L1の他に似たコンセプトのカメラとしてDMC-LC1が同社から登場していました。この生みの親と言える一人の男性が、L1発売後すぐに退社しているんです。
これは残念でなりません。
DMC-L1とDMC-LC1(これも持っていました)以外で僕が似た感動を覚えるデジタル画質はLeicaのデジタル機だけです。
またこの方がどこかのメーカーからカメラを出してくれはしないだろうか・・・と思っていたら。
なんとPanasonicをやめてすぐにLeica社に入社されていたんです。
当時LeicaはM8発売前であり、本気でデジタルのMを出す気でいたようであり、この一人の方に白羽の矢が立ったようなのです。
「なにっ~!!どうりで!!」というと、僕がさも違いのわかる男ぶった感じになるので大声では言いませんがね(笑)
DMC-L1発売後の同社からはDMC-L10、DMC-G1、DMC-GF1など、コンセプトがL1やそれとは異なるスタイルを歩むことになります。
そしてそのうち、気になる一台の新機種が発表されました。
DMC-GX7です。
発売当時、なぜ全機種のGX1から一気に数字を飛び越えて”7”になったのですか?というインタビューをよく見かけました。
それに対しパナソニック側は「それだけ進歩した、と受け取ってください」というアヤフヤな回答しかしていません。
レンジファインダースタイルのカメラはDMC-L1以来初めてのDMC-GX7。
2017年の今となっても、その使いやすさや画質は劣っていないと感じる程、造りも含め様々な部分がそれまでのm4/3シリーズの中でもひと際気合の入ったものとなっていますが、皆さんはこの1→7の数字の飛び越えを、上記のインタビュー内容で納得していましたか?
まぁ、そこまで勘ぐるのはL1大好き人間の僕くらいでしょうけどね。
しかし僕は現状どこにも語られていない事を知りました。
それはDMC-L1の発売年、つまり生みの親である男性がPanasonicを退社してから、ちょうど”7年目”にGX7を世に出したのです。
どうみてもDMC-L1を踏襲しているデザイン。
それまでも「L1やLC1のようなデザインを出さないのか?」といったインタビューも目にしましたが、「要望が大きければー」といった回答でした。
他社では既に富士フィルムがそれと同じコンセプトでX-Pro1、X-E1などを発売していました。
間違いなく成功しているコンセプトだというのに、LC1やL1をよく知らない方からすれば、GX7は富士フィルムを真似した!とも思っていることでしょう。
僕が思うにPanasonic社は、このDMC-L1の生みの親である男性との間にあった何かしらの溝が氷解したのだと思います。
きっとDMC-L1は販売数として失敗に終わったはずです。すぐさま一般的な一眼レフシルエットのDMC-L10を出しました。
恐らく、この生みの親である男性が辞めたのは、ごちゃごちゃした理由があるに違いありません。
これは考えすぎだとは思いますが、多くの事がこの構想によって辻褄が合います。
えー、ここまで長々と駄文を綴ってしまいましたが、この辺でパート1と唐突に終わろうと思います(笑)
いや~、ひどいですね(汗)
これ以上書いているともっと酷くなるっ!!
次回は組み合わせて使っているレンズについて書きます!!!
オーゼキコーキ
【本日の一枚】
DMC-L1 + PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limited