本日、撮影でお邪魔させて頂いた東京神楽坂にある串揚げ料理屋さんにて。
”チックタックチックタック”と、なんとも心地のよい時を刻む音色が、入店早々から僕の耳に届きました。
”随分と懐かしく感じるなぁ”と気になりつつも、その理由をハッキリと思い出せないまま撮影を進めていると、やがて定時を知らせる鐘の音が響きました。
古い掛け時計ならではの重く柔らかな音色を聞いて、ようやくハッと気がつきました。
それは正に、既に他界した青森の祖父母の家で響いていた”あの音”だったのです。
僕が幼い頃に両親と祖父母が、急須で入れた熱々の緑茶を飲みながら談笑していた時の情景が、フワッと頭に浮かびました。
あの頃の僕は大人の世間話などには全く興味が無く、早く貰ったお小遣いを持ってデパートの玩具屋に行く事ばかり考えては「まだかなー、まだかなー」と、縁側やら仏間やらでゴロゴロと暇を持て余していました。
テレビもラジオの音もしない祖父母の家の中で、唯一、事のキッカケを与えてくれるのは、柱に掛かった古時計です。
30分おきに鳴り響くその鐘の音だけが、僕が自由になれる”かもしれない”チャンスの知らせでありました。
だからでしょうか、大人になった今でもそれが聞こえると、妙にソワソワしてしまうようなのです。
とても不思議な感覚であると共に、これからも大切にしていかなくてはならない、自分だけの尊い記憶であるとも感じました。
店主の方に「いい時計ですね」と言うと、「骨董品って言えるかどうかは分からないけど、ちゃんと動くモノとしては珍しいと思うよ」と話してくれました。
また「その日の湿度で音色が変わるんだよ。もっと乾いた音も良くてね」とも。
きっと僕の祖父母も同じことを知っていたんでしょうね。
もっとそういう何気ない会話をしたかったなぁと、童心大人ぶる良い一日でした。
オーゼキコーキ
【本日の一枚】
PS:今日の写真も当然の撮って出し。
やっぱりGX100の高感度ノイズが心地よくて、結局まだまだ使ってます。
最近のデジカメはデフォルトじゃ出せないですもんね。
ISO10-3200くらいの機種出しませんか?
【底感度のK】つって。
ねぇ、RICOHさん(笑)