かなり、かなり、かなりの頻度で「最近のスマホは本当に綺麗に撮れるから、わざわざカメラは要らないなぁ」と言われる事が多いです。
特に小さなお子さんが居る方とは、こうしたお話になるのです。
確かに。
近年のスマホは本当に手軽に良く写りますよね。
機種によっては少し前に溢れていた”高画素”の1/2.3センサーのコンデジよりも見栄えの良い写真が撮れることもあります。
ですから”綺麗に撮れる”という部分に関しては一切異論はございません。
僕らのような人間からすれば、まぁ色々と粗が分かりますが、一般的には必要十分な画質を誰でも手に入れられる時代と言えるでしょう。
今日だって仕事先で同じような会話がございました。
僕は「確かにそうですよね」と返答しつつも、いつも決まって一言だけ質問します。
「ーですが、例えばきっと5年前にも同じ感覚でスマホで写真を撮られていますよね?
いま、その画像データってちゃんと保管や管理ってされていますか?」と。
これまでに「もちろん!」と答えた方は、残念ながら一人もおられません。
「スマホで”メモ写真”を撮ることと、カメラで”思い出を写す”ことって、全然違うんですよ。ぜひカメラの購入を検討してみてくださいね♪」
と、最後はほんのり軽くご案内しています。
僕の場合は特に小さいお子さんがいらっしゃる方に対して、なるべくカメラで写真や動画を残してほしいと感じています。
『より綺麗な画質で ー 』という理由ではありません。
我が子を愛おしく想って撮った写真には、その時の”気持ち”が宿っています。
そのデータを、自分だけではなくその子自身の為にも、しっかり残すべきだと思うからであります。
カメラ機能付きスマホではなく、写真機(カメラ)ってやつは、それを叶えてくれる”チカラ”があると思うんです。
つまり、カメラメーカーも必ずそのことを念頭に置いた製品開発をする責任がありますよね。
そういえば、僕が産まれて間もない頃に父が撮った一枚の写真があります。
使っていたカメラは全自動のKonica MT-7というチープなコンパクトフィルム機。
当時、一切カメラに興味関心が無かった父は、出産祝いという事で頂いたそのカメラで僕のことを撮りました。
父はその写真をいつも免許証と一緒に小さな革のケースに入れて持ち歩いていました。
今はヒゲの生えた大男のオーゼキも、その当時、それは可愛い小さな天使でありました。
父もきっとそう思ったのでしょう。
カメラを縦に構えて、愛する我が子をフレームいっぱいに近づいて撮ったのでした。
ここで当時の安価なコンパクトフィルム機を知る方なら勘付いた事でしょう・・・。
そう、しっかりと盛大な”ピンボケ”写真なのです。
このKonica MT-7は当時の安価なモデルに多かったパンフォーカスタイプのカメラです。
フォーカスは1.5m~∞の固定タイプで、35㎜の暗いレンズです。
それでも。
そのピンボケが物語る「枠いっぱいに撮りたかった」という気持ち。
それがちゃんと写っている(宿っている)のですから、素晴らしい一枚だと僕は思います。
知識が無くても、撮るのが下手でも、なんでもいいんですよ。
気持ちが残せているならば。
(でも当時カメラをプレゼントしてくれた人が、もしもOLYMPUS 初代XAとかを選んでくれてたらなぁ・・・(笑))
オーゼキコーキ
【本日の一枚】