200years:

-ozekikoki-

たたかい続ける人の心

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RICOH GRIII

月曜はブログ・ラジオ共にお休みいたしましてご心配をお掛けいたしました;

急な会食が入り本日にずれ込んだ次第ですが、昨夜は生まれて初めて約50年を超える年月をラリーモータースポーツの世界に身を置いてこられたドライバーとコドライバー(ナビゲーター)の方々と話す機会が得られました。

その中でも大変興味深かった事は、そのラリー戦を切り撮るプロカメラマン界隈のお話です。

あくまでも選手側から見たラリーフォトに対するご意見や感想となるわけですが、僕たちが普段目にするカメラ雑誌などでは知り得ない内容でありましたので、その一部分をご紹介いたします。

 

◆撮ってほしい写真と実際に撮られている写真◆

命がけでレースに臨む選手たちにとっても自分たちの雄姿を写真に収めてもらうことはとても嬉しい事だと言います。

ですが1980年代後半から90年代頃から、いわゆる”流行り”のカットが増え始めたそうです。

皆さんはモータースポーツの”ラリーレース”と聞きますと、どのような写真を思い浮かべますでしょうか。

 

土埃をモクモクと上げて激しく砂利を吹き飛ばしたコーナー。

はたまたロード脇の観客たちが騒めく中で盛大にジャンプして宙に浮いている車体。

或いはクラッシュしてバンパーを引きずっても走り続ける過酷な様子。

 

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イメージカット Google検索より

僕は中学生時代に担任を勤めてくれた一人の先生の影響を受けて車が大好きになり、特にラリー戦の写真を見て、鮮烈なブルーが印象的なインプレッサや泥だらけの白い車体にレッドラインが印象的なランエボのそうしたカットに胸を熱くしていました。

 

ところが正にそれらのカットこそが人気で主流のものだというのです。

 

では選手たちが本当は一番撮ってほしいカットとはどんなものなのでしょう。

 

その答えは・・・

 

自分たちが今どれだけ魅力的な大自然で、どのような特色のある場所を走っているのかが、それを観た人に伝わる一枚、なのだそうです。

 

それはつまり、どれだけ激しく砂埃を巻き上げてドリフトをしても、そういうカットは車がカッコよく見えるだけであり、砂利は世界のどこにでもあるのだから、そうしたカットには本質的なラリーの魅力は写っていないというのです。

 

至極納得です。

それでも前述の流行りがスタンダード化するのも、とてもよく理解できます。

 

以前は選手たちも惚れこむほどの写真を撮るカメラマンが居たそうですが、最近は見なくなったと話してくれました。

 

その理由や業界のベテランだからこそ知る深い裏話など含めて、このあと収録するラジオにてお話しさせて頂きますが、度々登場する吉田拓郎の『イメージの詩』の歌詞に在る「たたかい続ける人の心」のフレーズを思い出した次第です。

 

”撮りたいもの”と”撮ってほしいもの”

そのフレームに収めるべき本質を知る者にとっては避けられない葛藤が、どのような業界にもあるのだという事を再認識致しました。

stand.fm

 

オーゼキコーキ

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