200years:

-ozekikoki-

今夜はエアコンの調子が悪くて蒸し暑いので

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OLYMPUS E-M1 + 12-40mm F2.8

高校時代の冬に、僕は人生で初めてスノボーをやりに友人たちと山へ行きました。

生まれも育ちも青森県だというのに、それまでスキーすらも体験したことが無く、若干丈の合わないウェアーとボードをその友人の一人から借りての初ゲレンデ。

 

当然滑り方もわからないので、中でも飛び抜けてスノボーを得意とする『N君』が緩やかな斜面にて僕に簡単な”お作法”を教えてくれました。

彼は今すぐ滑りに行きたいのをきっと我慢していたのでしょう、「そうそう、そんな感じ!」とコーチングしながらも、顔にはずっと”ウズウズ”と書かれていて大変素直なやつです。

 

僕が思いのほか早くにコツを掴んだのを見て、「よし!もう大丈夫!あとは滑ってれば覚えるべっ!」と、我慢のタガが外れたように「早く!いくべっ!いくべっ!」と僕の腕を引きリフトへ向かいました。

まぁ、構図としては僕がボードの上にただ立っていて、彼が引っ張っていくという滑稽なものです。

 

よくわからないままリフトに座ると徐々に綺麗な雪山の景色が広がります。

一応もう一度言いますが、ずっと青森県民なのに初めて見る高所からの雪山です。

 

眺めていると横で彼が「あ、そうだコーキ、ボードの片足だけ外しとけなぁ」と言ってきました。

「なんで?」と尋ねると「だっておまえ、降りる時に一瞬で体をひねって滑りながら着地するの無理だべ?だからボードを付けた片足だけ先に地面につけて少し滑ってからもう片方の足を乗せんだよ、わがる?」

 

「・・・わがんね」

 

ということで、見事に着地失敗でコケました(笑)

しかしそれは始まりにしか過ぎなかったんです。

いざ山の上に着いたら恐ろしいほどの急斜面を誰もがスイスイ滑りだすのです。

N君は「大丈夫、大丈夫、意外と滑ればなんとかなる、あとは気合だぁ」と言い残して先に行ってしまいました。

 

まぁ僕も10代でしたし「そっかぁ?」くらいのノリで滑り出したんです。

すると確かにそこそこ滑れている自分に驚きました。

「なんだ結構かんたんじゃん♪」と思ったのも束の間、どうにもスピードが上がっていくのです。

これはマズイ!と思い、ついさっき教わった事を思い出しました。

 

「あのなぁコーキ、スノボってのは曲がれば減速すっからな」

 

そうだ、さっきは曲がったら止まれたじゃないか!と早速試しました。

緩やかな弧を描くように曲がり、なんとなく減速しましたがまだ早い・・・

今度は逆方向に曲がりました。

もう、ぜんぜん止まる気配はありません。

 

そしてアホポンな僕はその時に気付いたんですよね。

「あれ、オレ、減速は教わったけど、止まる方法知らなくね?」

 

徐々に人が多く居るところに迫っていましたから、このままでは突っ込んでしまうと思い、なるべく雪の深そうなコースの端へ寄りつつ転ぶことにしました。

 

恐るおそる姿勢を低くしながら「はて、どう転んだもんか」と少し悩みましたが、刹那のイメトレも虚しく想像よりも遥かに吹っ飛んでしまい、ロープの張られた崖スレスレで止まりました。

恐らく20メートルほどは滑り転げたと思います;

もう体中が痛くてたまったもんじゃありません。

見回すと近くに人は居なかったので暫く休もうと思いそのまま横たわっていましたら、1分もしないうちに海で言うところのライフセイバーのようなお兄さんがすぐに助けに来ました。

「大丈夫ですかっ!!かなり凄かったですよ!」

と、まるで僕が大技のジャンプでもキメたかのような言いぐさで思わず笑ってしまいました;

「いやぁすみません、止まり方がわからなくて・・・」

「え?だめですよそれで滑っちゃ」

「ですよねぇ(笑)」

そしたら漫画やドラマのようなタイミングでN君がそこにやってきました。

N君「な~にやってらぁ~?(笑)」

僕「いやさぁ、忘れてた俺もアレだけど、おまえ止まり方教えてねーべ?」

N君「あ~、まぁ最初はみんな転んで覚えるもんだ」

ライフセイバー「いやダメだよ、そこ一番大事でしょ、友達死んじゃうよ?」

N君「だははははは」

 

笑い事じゃないよと厳しめに注意されてしまったN君は、そこから暫く僕に止まり方をレクチャーするハメに。

ところがどっこい、不思議と全く僕はそれを習得できないのです(笑)

何度やっても転んでしまい、体中がたぶんアザだらけ状態。

 

N君「なんでおまえ、滑れて曲がるのも出来てんのに止まれねーのよぉ、変だべ、はぁ日が暮れるじゃぁ~」

僕「おれもわかんねぇ(笑)もうアチコチ痛いし、仮に今止まれるようになっても滑る体力無いからNは滑ってきていいよ、わりぃなぁ、あんがと(笑)」

 

という事で、スノボーに関して30代半ばの今も止まれないままであります。

 

ちなみに、きっとこれが理由ではないでしょうけど僕は車のブレーキングに対してだけは並々ならぬプライドを持っており、同乗者の身体を一切揺らすことなく止まろうと拘るタイプです(笑)

 

ん~、いくら想像の中でゲレンデに行っても、唯一の思い出で蘇るのは痛みを帯びた楽しい時間だけで、ぜんぜん涼しくならないじゃん。

あっ、

”じゃん”とか言っちゃって、東京人ぶってるなぁとか自分でも思いましたが、あのゲレンデでコケまくってた年齢よりも、気が付けばこっちに居る年月の方が長いんですもんね、じゃあまぁ・・・仕方ないじゃん?

 

と、文章でも少し滑ってみたところで。

 

たった1つだけ、この話にヒンヤリとしてしまう点があるのです。

 

僕はこのブログの冒頭で『友人たちと山へ』と書きました。

N君と僕と一緒に行ったもう一人の友人、〇君。

3人で行ったはずですが、どうしてもその一人のことが思い出せないのです。

絶対にもう1人一緒に行ったんですよ。

何度もお伝えしている通り、ゲレンデに行ったのは人生でこの1度だけ・・・

他の思い出と混同してしまうなんてあり得ません。

 

ただ、会話をした記憶もないのです・・・

だけど間違いなくもう一人、行きも帰りもゲレンデにも居ました。

 

ねぇ・・・〇くん、いったいキミは誰なんだべ?

 

オーゼキコーキ

 

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まぁ、こういうおバカっぽい話の後にヒンヤリ系を付け足して、

更に一番最後は

 

「まぁ、すんずるか(信じるか)すんずねぇかは(信じないかは)、おめぇしでぇです」

 

と言えば、キャバクラでは滑り知らずでした。

商社時代に接待三昧の日々で習得した僕なりの大技です(笑)

 

オーゼキコーキ